大津駅ビル問題

障害者差別のない「おおつ」をめざす会では、大津駅ビルのバリアフリー問題に2016年~2017年にかけて取り組みました。

大津駅ビルは、昭和50(1975)年に、観光の拠点にしようと建設され、市が店舗部分を借り、飲食店などのテナントに貸し出されていました。その後の老朽化で改修が決まり、すべてのテナントが撤退。2016年10月に、耐震工事を施すなどの改築がなされました。
旧駅ビルには、昇りのエスカレーターと隣接していたスーパー「アルプラザ」が2階部分に直結通路が設けられており、階段での昇降が困難な障害者、高齢者、ベビーカー利用者(以下、障害者等)も2階の店舗等の利用が可能でした。しかし、今回の改築に伴い、アルプラザも取り壊され、さらにエスカレーターも取り外されてしまい、障害者等が利用しずらくなりました。

「高齢者・障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」や滋賀県の「誰もが住みたくなる福祉士がのまちづくり条例(誰まち条例)」では指導・助言はできてもそれ以上の「義務」を課す事ができないとされています。しかし、この「大津駅外装工事」に対しては、6,600万円の公費の支出が外装改装の名目で支出されています。公費が投入されているこの駅ビルに関しては『公』な意味合いがあり、行政が何らかの対応が必要なのではないかとの声がでている問題です。

〇行政の立場
 大津市都市計画部建築指導課においては、建築基準法に基づく建築確認申請を受け付け、建築基準法との適合性を判断し通知が出される。建築(改装)が進んだ後に、県の事務委任として誰まち条例に基づく届出を受け付け、「エレベーターの設置」を含む指導・助言が口頭・文書での指導がなされたが、その後改善は見られず、市としてもそれ以上の権限がなく何もできない。
 バリアフリー法との関係では面積基準が特定施設に満たず、何もできない、と。

〇民間事業者の立場
JR側に確認すると「文書を受け取った担当者は、文面の「望ましい」を努力義務と理解し、検討結果を大津市に報告することなく、そのままの状態となった」とのこと。

〇まとめ
 駅ビル「ビエラ大津」に視察にも出向き、また、二階にある店舗で懇親会の会場として利用させていただきました。その際には店員さんや一般のお客さんにも手伝ってもらい、楽しいひと時を過ごすことができました。エレベーターの設置がなされなかったことは、とても残念なことであり、設置を求めたい思いがあります。現実的にかなわないのであれば、その他の代替手段を示して欲しい。そして、第二の「大津駅ビル問題」が起こらないことを求めます。
障害者差別解消法が施行され、障害者等のある人も障害等のない人と変わらず暮らせるまちづくりが求められる中、法や条例の狭間で権限がなく、取り組めない、指導できないということがあるのであれば、条例の制定や改正することで対応できるように求めます。

滋賀県に出した要望書

2017 年10 月13 日

滋賀県知事
 三日月 大造 様

障害者差別のない「おおつ」をめざす会
代表 中川 佑希

大津駅ビルバリアフリー化に関する要望書 

  紫陽花の候、貴職に於かれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 さて、2016 年10 月に滋賀県の玄関口である大津駅にオープンしました、「ビエラ大津」にエレベーター等がなく、障害者・高齢者・乳幼児・その親・妊婦等にとっても使いづらいという声があがっています。また、このことは大きな旅行かばんを持つ国内外からの観光客等にとっても同じことが言えます。
この問題に対しては、現在の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」や滋賀県の「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」では、エレベーターの設置などの義務を課す指導等が困難である旨を伺いました。
 しかし、大津駅ビルに、JR 大津駅外装改修工事として、大津市がその経費の一部を負担したのは、通常の民間施設とは異なり、公に準ずるものであるから、以外に理由がないと考えます。
そこで、以下のことをご検討頂きたく、要望いたします。



1、大津駅ビル「ビエラ大津」を誰もが利用しやすくなるようバリアフリー化を進めること。
滋賀県の玄関口である大津駅ビルを、障害者・高齢者・乳幼児・その親・妊婦等の誰もが利用しやすくなるようにバリアフリー化(エレベーターや情報案内、多目的トイレ、スロープや手すりの設置など)を進めてください。

2、現在策定が検討されている、滋賀県の障害者差別の解消に関する条例にバリアフリーに関する項目を加えてください
本事例のように、現行の法や条例で対応できないものについて、新たな規定、条例をもって対応できるようにしてください。障害者差別解消法によって定められている義務の上乗せ、規制対象の拡大や紛争解決の仕組みを設ける(横だし)など、障害者差別解消法を補完し、さらに滋賀県の障害者施策の推進に帰することのできる条例を策定し、本事例のような出来事が起こらないよう整備してください。

3、支出の費目に関わらず、公費が支出されている建造物には、公の建造物と同等にバリアフリーがなされるようにすること。 
公費を支出している以上、障害のある人にも障害のない人と同等の利益を図らなければならない。そこに偏りがあるのは、差別であると言わざるを得ない。

以上